本ブログは歴史考察ブログと銘打ってはいますが、有名な史書や歴史文献に限らず、時より、現代アニメ作品の中に婉曲的に書き込まれた歴史的プロットも、非常に特殊な歴史資料として参考にしています。
なぜこんな手法を取るのか? これまでに何度かその理由はお伝えしていますが、改めてそれを説明すると
日本書紀や古事記などの史書類はどれも改竄されている
という前提があり、改竄されているという事は、逆に言えば正史に近い底本がどこかに存在しており、限られた一部の関係者だけがそれにアクセスできるのだろうと予想するからです。
それだけでは、アニメや映画・ドラマなどに歴史的プロットが使われる理由にはなりませんが、おそらく、その底本に書かれた内容がメディア表現で頻繁に使用される一番の理由とは、
事実でないものに大衆は強く反応しない
からであろうと私は考えるからです。
それは、心理学的には潜在意識や集合意識の記憶領域と強く連動している、はたまた遺伝子レベルでの記憶保存と何か関係があるからであろうと思われるのですが、この分野は学術的に議論が多い所なので、私も断言するまでには至っておりません。
しかし、本ブログでスタジオジブリさんのアニメ映画「もののけ姫」あるいは「千と千尋の神隠し」を記紀などの史書と照らし合わせながら分析した結果、かなり矛盾なく古代の様子が見えて来たので、今ではメディア作品の分析手法が、歴史考察においてかなり確度の高いものであると確信しています。
問題なのは「大衆が強く反応」することを利用して、作品提供側が何を意図しているのかです。
一つには、作品の大ヒットによる興行収入の増大などが考えられますが、もう一つ考えられる大変重要な要素とは
大衆を納得させやすい
こと。どういうことかと言えば、顕在意識に昇らない古い記憶に直接訴えることによって、論理的な説明を省きながら話に説得力を持たせることができる。別の表現をすれば
大衆を誘導し易い
と言い換えることができるかと思います。要するに「洗脳」ということです。
今回は、つい昨日、(真)ブログ記事「デデデデは諦めない」を上梓した経緯から、このアニメ作品「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」(以下「D4」と略す)について、歴史的事象が挿入された具体例を見て行きたいと思います。
■登場人物名に隠された記号
D4がどのようなアニメ作品かについては、公式ページ及びWikipediaなどを参考にしていただくか、現在ネット配信されているアニメシリーズを実際に視聴していただきたいのですが、今後の解説スタンスは基本的に(真)ブログ記事と同じですので、まずはそちらをお読みになっていただきたいと思います。
この作品には様々な切り口があるのですが、古代史的な観点から見るなら、なんと言っても登場キャラのネーミングでしょう。

左から 小山門出(こやまかどで)、中川凰蘭(なかがわおうらん)、大場圭太(おおばけいた)
このアニメ、個性的なキャラが大勢登場するのですが、とは言っても、話はこの二人の少女の関係を軸に展開します。
そして、変わり種は元男性アイドルグループのメンバーであった大場君なのですが、彼の中身は「侵略者」と呼ばれる宇宙人に入れ替わっています。
「二人の少女」が主人公と聞いただけで、読者さんも気付いたかもしれませんが、お分かりのように、本ブログでは日本の古代王室は、一人の王と
二人の皇后
によって構成されていたと仮説を立てています。
そして、二人の皇后の内、呪術や託宣などシャーマン的な役割を受け持つ方を
少女神
と呼んでいたことを思い出してください。そして、王権の継承権を保持するのは男性王ではなく、皇后となった女性側なのです。
さて、二人の少女キャラの名前についてですが、「門出」、「凰蘭」と王家を思わせるいかにもそれっぽい名前が付けられていますが、それに比して苗字の方は「小山」、「中川」なる普通と言うかよくありがちなものに留まっています。
この簡単な漢字の組み合わせについて分析すると、次の様な結果が導かれます。

お分かりのように、どちらの苗字も基本的に単純な直線によって構成された漢字が使われており、このような文字は、呪術の世界では数字表現として暗示的に使われることが多いのです。
この場合、線数を数えるのが一般的ですが、漢字の画数も世間では通用している数え方ですので、この二人の場合は任意に適用するとしました。
ここで出てきた数字は「7」であり、これがユダヤの燭台「メノラー」の枝数を表す、あるいは、ユダヤよりもさらに古い古代メソポタミアの「七枝樹」を表すことは、過去記事「方舟と獣の数字」で既に述べています。

この数字の一致から、二人の少女を主役キャラに立てた理由が、どうやら、日本の王朝を越えたはるかに遠い古代王と女王の関係に行き着くことが見て取れるのです。
■女王は二人だった
上記「方舟と獣の数字」では次のような古代シュメールの彫像を掲載しました。

注目すべきは、左側の女王に向けて七枝樹の枝が4本向けられていることです。
歴史言語学の研究家、川崎真治氏の著書「日本最古の文字と女神画像」によると、シュメール文明における王と女王の象徴は、次の様に書き表されることがあると説明されています。
王 :星が3つ
女王:星が2つ(または4)
「星が2つ(または4つ)」これはいったいどういうことなのでしょうか?どちらの数字が正しいのでしょうか?
この問題は、本ブログで主張してきた「二人の皇后(女王)」の概念を適用すればあっさり解決します。なぜならば、
女王が二人 (星2つが二人=星が4つ)
また、画像4で女王の彫像が一人だけなのは、
一人は少女神(シャーマン的女王)
であり、表には現れない存在であること、あるいは二人で一人の扱いであると考えれば論理的にも矛盾はないのです。
この関係をD4の二人の少女キャラに当てはめると次の様になります。

この画像を見ていただければ、何故「大場」という苗字がキャラ名に採用されたのかも見えてきます。「大」は「おお」または「おう」で「王」に通じ、「大場」という文字を遠目に見れば「太陽」と見えなくもありません。
世界の神話では太陽神とは一般的に男性であり、記紀で女神にされている天照大神も、秀真伝では人間の男性王「アマテルカミ」として記述されているのは、これまで何度もお伝えしてきたことです。
ちなみに、中川さんは物語の中で、侵略者の技術を借りて
異なる世界線上の過去に移動
という超人的な、それこそシャーマン的なことをやってのけるという設定が与えられています。これはいったい何を象徴しているのでしょうか?
しかし、このキャラ設定の中で一番の問題は
王が侵略者とはどういうことなのか?
という点なのです。
私は、これこそが、日本皇室の真の出自と大いに関係があるのではないかと睨んでいるのです。
管理人 日月土