大空のXXと少女神の暗号

年が明けたばかりの今月6日、某所(後で説明)の現地調査に向かったのですが、移動中に空を見上げて驚いたのが、そこに描かれた二つの「X」の文字だったのです。その状況は(真)ブログ記事「新たな祭の始まり」で触れています。

それが自然にできた雲によるものなのか、あるいは飛行機雲なのか、その発生源については未だに不明ですが、空に文字様の雲を見かけるのは必ずしも珍しいことではありません。それでも今回驚いたのは、そこに描かれた文字が「XX(ダブルエックス)」であるということ、また「XX」を見たのがこれで2回目だということなのです。

最初の目撃体験については、昨年4月の(真)ブログ記事「大空のダブルエックス」で触れていますが、何より不気味に思えたのが、「XX」を目撃した2回の調査活動の目的が

 少女神のルーツを探る

という、同じテーマであったことなのです。

画像1:2度出現したXX状の雲

■ダリフラのXXの意味を再考する

4年近く前、(神)ブログを始めた頃に2018年のアニメ作品「ダーリン・イン・ザ・フランキス」(以下ダリフラ)を取り上げ、そこに隠された日本古代史について分析を行いました。

取り敢えず、その時点で気付いた要素については一通り記事にしたつもりだったのですが、そう言えば、このアニメのタイトル画には「XX」が2つも描かれていたのを思い出したのです。

画像2:ダリフラのタイトル画

ここで、過去の記事を読み返してみたのですが、当時はまだ上古代における皇后兼巫女の女系継承問題、いわゆる「少女神」についてはその概念すらなかったので、分析の方向性は

 双子の皇后

すなわち、政治的なポジションとしての皇后と、宮中祭祀など巫女的役割を担った二人の皇后がいたのではないか、その点にのみフォーカスし、血の継承問題については特に分析の対象とはしていませんでした。

そこで、偶然?にも二度目撃した「XX」に鑑み、ここではこれまでのダリフラ分析に新たに女系継承の視点を取り入れてみようと思い立った訳なのです。

これまでのダリフラ関連記事:

 1)2019年3月30日 “ダリフラ”、タイトルに隠された暗号 
 2)2019年4月2日 太宰府で繋がる新元号とダリフラ 
 3)2020年2月27日 ダリフラのプリンセスプリンセス 

さて、タイトル画以外に「XX」の意味について触れたシーンが作中に一箇所あるので、まずはそこを押さえておきましょう。

画像3:生体兵器「叫竜」(きょりゅう)の肉体はXX(女性遺伝子)で構成されている
(第20話より)

アニメの設定における位置付けはともかく、画像3をのシーンを見る限り、少なくとも「XX」がX染色体、すなわち「女性遺伝子」を指していることは明らかです。問題なのは、画像2のタイトル画で象徴されるように、何故「女性」と「遺伝」をここまで強調するのかその点なのです。

単純に考えれば、これは女性の特性が遺伝的に続くこと、すなわち女系の血の継承を表現しているのではないかと取れるのですが、いかがでしょうか?

これまでの分析により、アニメの主人公である少女「02」(ゼロツー)は、その数字が「鬼」を表すことから、鬼道(呪術)の使い手で知られる卑弥呼、そしてその実体である神武天皇の皇后、媛蹈輔五十鈴媛(ヒメタタライスズヒメ)をモデルにしているだろうと予想しています。

また、「媛」ヒメの字がその名に2箇所使われていることから、恐らくこれが双子の皇后の存在を表すであろうとも結論付けています。アニメでは「ゼロツー」が「叫竜の姫」の遺伝子クローンという設定になっていますので、これはまさにヒメタタライスズヒメが双子であることを遠回しに表現しているのではないかと捉えたのです。

これらを少女神の視点から更に表現し直すと

 双子の皇后ヒメタタライスズヒメは、特定女系の血を引き継いでいる

となるのです。

実は、この予想を補足する作品中のメッセージとして、次の登場人物のネーミングが大きな意味を持つことに後から気付きました。

画像4:二人の主人公の世話役「ハチ」(008?)(右)と「ナナ」(007/077?)(左)

二人の役どころは、主人公達を含む「子供」と呼ばれる少年・少女戦闘員の世話役、物語の最後では彼らの親代わりというポジションに移るのですが、まずここで親子という世代継承のニュアンスが表現されているのが分かります。

しかし、数字をそのまま読み替えただけだろうこの二人の名前は、より重大な意味を含んでいることが以下の分析から見出せるのです。なお、この二人に限っては、他のキャラには付けられているコードナンバーが何故だか設定上でも明記されていないので、「ハチ」については「8」、「ナナ」については「77」の数字を割り当てることにします。

画像5:二人の名は「皇后」を表す。

3桁の数字「123」が「天皇」の意味を持つことは(真)ブログ記事「新嘗祭イヴの呪い」をご確認頂きたいのですが、実はこの場合「877」という数字が転じて「皇后」を意味することはこれまで説明したことはありませんでした。

どうしてそう言えるのかは、画像5を見ればお分かりの様に、この二つの数字が加算された時に初めて新しく4桁目が生じる、すなわち、天皇と皇后の組み合わせが新しい次の世代を生み出すと解釈できることに拠るのです。

ここまで来ると、「ハチ」と「ナナ」のネーミングは適当に付けられたものとは考えにくく、明らかにこれは、「皇后」に関連するメッセージを強く含んでいると考えられるのです。

古代史ならず日本の歴史の主役は「天皇」であると私たちは考えがちですが、どうやらダリフラが意図する歴史的視点は、皇后の輩出家系についても大いに注目しているようなのです。

■ヒメタタライスズヒメと三嶋溝橛

さてここで、ダリフラにおいて角の有る美少女キャラのモデルとなったであろうヒメタタライスズヒメが史書の中でどのように記述されているかを確認してみます。

此の神の子は、即ち甘茂君等(かものきみたち)・大三輪君等、又姫蹈韛五十鈴姫命なり。又日はく、事代主神、八尋熊鰐(やひろわに)に化為(な)りて、三嶋の溝樴姫(みぞくひひめ)、或は云はく、玉櫛姫(たまくしひめ)といふに通ひたまふ。而して児姫 蹈韛 五十鈴姫命を生みたまふ。是を神日本磐余彦火火出見天皇(かむやまといはれびこほほでみのすめらみこと[=神武天皇])の后(きさき)とす

日本書紀神代上第八段一書から

これの他に、次の箇所でも登場します。

庚申年(かのえさるのとし)の秋八月(あきはづき)の癸丑(みづのとうし)の朔(ついたち)戊辰(つちのえたつのひ)に、天皇、正妃(むかひめ)を立てむとす。改めて広く華輩(よきやから)を求めたまふ。時に、人有りて奏して日さく、「事代主神、三嶋溝橛耳神(みしまみぞくひみみのかみ)の女(むすめ)玉櫛媛(たまくしひめ)に共(みあひ)して生める児を、号(なづ)けて媛蹈輔五十鈴媛命と日す。是、国色(かほ)秀れたる者なり」とまうす。天皇悦びたまふ。

日本書紀神武天皇記本文から

以上から、書紀では神武天皇の正皇后であるヒメタタライスズヒメは事代主神と玉櫛姫の間に生まれた子と記述されているのですが、秀真伝ではその辺の関係性が少し異なります。

画像6:秀真伝によるヒメタタライスズヒメの系譜

上図の様に、秀真伝によれば玉櫛姫を娶った事代主と言うのは、同じ事代主でも孫の世代に当たる「ヤヱコトシロヌシ」を指すようなのです。

事代主は皇統の代で言えば瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)と同世代になりますから、その娘が瓊瓊杵尊のひ孫に当たる神武天皇の后になるというのは少し不自然です。ですから、同じく事代主のひ孫世代がヒメタタライスズヒメとなる秀真伝の記述の方が、より真実に近いと考えられます。

さて、今回の注目点は「少女神」ですから、そうなるとどうしても気になるのが、画像6でも示した、皇后を輩出した家系

 三嶋溝橛(みしまみぞくひ)

とは何者なのか、その点なのです。残念ながら、秀真伝でも三嶋溝橛の妻の名、およびそれより遡った系図は出ていません。

少女神と言う概念を初めて取り上げた記事「少女神の系譜と日本の王」で、私は「みシまる 湟耳(こうみみ)」氏が書かれた本「少女神 ヤタガラスの娘」を紹介しましたが、その中でネタバレ防止の為、次の様に一部を伏せて書いている箇所があります。

古代皇統の権威は特定家系である「☆☆☆」家の少女の元へ入婿することによって引き継がれてきた

もうお分かりのように、この伏字に入る文字は

 ミシマ

なのです。また、著者が三嶋溝橛にたいへん注目していることは、ペンネームの「みシまる」に如実に表れているとも言えるでしょう。

これまで、国内少女神の家系として、伊弉冉尊(いざなみのみこと)から始まる、下照姫の家系、月読尊の家系を予想していましたが、今回登場した三嶋溝橛がそのどちらかの系統に繋がる血筋なのか、あるいは全く別の女系一家なのか、新たなる謎が加わることになりました。

ダリフラというアニメは、素人目に見ても相当に脚本を練った作品、あるいは古代史情報をふんだんに詰め込んだ作品と認められるのですが、ここまで出してくる目的とはいったい何なのか?表現者のその意図を含め、今後の分析が求められるのです。

■大空のXXが意味するもの

次の2つの写真は、空にXXが出現した当日の調査対象です。

画像7:香良須(カラス)神社 愛知県豊田市市木町(令和4年4月11日撮影)
画像8:三島神社 千葉県君津市糠田(令和5年1月6日撮影)

香良須神社はみシまる氏の著書に書かれていたことから、半ば興味本位で向かった場所ではあるのですが、現地の客観的な情報からだけでも次の点が窺えます。

 祭神は稚日女尊(わかひるめのみこと)→ ワカヒメ → 下照姫(少女神)
 所在地は市木町(いちきまち) → イチキ → 市杵島姫(少女神)

そして、君津の三島神社については特に語る必要はないでしょう。

大空のXXが少女神調査との関りで出現したものなのか、それとも単なる偶然なのか、それは私にもよくわかりません。ただ、このテーマが日本(にほん)という国の成立ちを知る上で、避けて通れないものであることを、ひしひしと感じるのです。


賀茂川を上りて向かう姫宮は紅差す御身の清き里なり
管理人 日月土

千と千尋の二人姫

アニメネタから離れて約半年、ここで再びジブリアニメ「千と千尋の神隠し」と古代史の関係を考察したいと思います。

画像1:「千と千尋の神隠し」ポスター

その前に、これまでの3つの記事でこのアニメをどのように分析してきたのか以下に簡単にまとめておきます。

千と千尋の隠された神   [2021/07/30]   
 アニメのモデルになった地は、千葉県東総地区、現在の銚子市周辺である。それは、「椿」の暗号によって示されている。

千と千尋の隠された神(2) [2021/08/14] 
 油屋のモデルとなったのは、千葉県銚子市の猿田神社である。それは、同社前に敷設された鉄道の配置からも窺える。

千と千尋の隠された神(3) [2021/08/30] 
 銚子市がモデル地と特定できる理由の一つとして、同地が琥珀の産地であることが挙げられる。この「コハク」こそが登場人物「ニギハヤミコハクヌシ」の命名の由来であろう。

なお、基本的な大前提として、タイトル中の「千と千尋」すなわち「千」の字をわざわざ二つ重ねていることなどから、主人公「荻野千尋」の古代史モデルが日本神話(日本書紀)に登場する

 栲幡千千媛萬媛命(たくはたちぢひめよろづひめのみこと)

であると仮定しています。神話では、千千媛は瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)の母であり、その瓊瓊杵尊はまた、同じくジブリアニメ「もののけ姫」に登場したアシタカのモデルでもあります。

この仮説は、劇中の設定と本件に関する文献および現地調査の結果を照らし合わせたところ、今や確信へと変わりつつあります。

■3月から始まる舞台

昨年7月、(真)ブログ「舞台に現れる千千姫」で、「千と千尋の神隠し」が舞台化されるとお知らせしました。そして、その舞台がいよいよ来月2日から上演されます。

 舞台公式サイト:Spirited Away 

さて、同ブログ記事の中では、次の画像を示してある不思議な共通点があることを指摘しています。

画像2:映画ポスターと二人の舞台女優

そう、アニメ画の主人公および、二人の女優さんが皆同じ

 振り向き様のポーズ

を決めているのです。そしてもう一つ、舞台上演では比較的当たり前だとも言えますが、ダブルキャスト(二人一役)を採用していることです。

但し、このダブルキャストはロングラン公演など長期の上演が決まっている場合の役者のシフトを考慮した措置で、この舞台の3月いっぱいの帝劇公演、および、5~7月までの地方公演が果たしてロングランと言えるのかは微妙なところです。

そして、その二人のキャスティングに売れっ子の二人の女優さんを同格に配置するというのも、何かの意図を感じずにはいられません。もちろん、ダブルで売れ筋女優を起用したと言う商業的戦略はあるとは思いますが。

私はここに制作側の大きな意図を見出すのですが、それについては次節以降に説明します。

■仮面の持つ意味

ここで、アニメ「もののけ姫」の主人公「サン」について振り返ってみます。

画像3:二人のサン

画像2は仮面を被ったサンと素顔を出しているサンです。普通に考えれば、仮面を着けているかいないかの違いだけで、どちらも同じサンであることには変わりありません。

しかし、ここで呪術的考察を加えると解釈は変わってきます。仮面を着けるとはその人が別人に変身することを意味し、呪術的には仮面の装着により、新たな人格と力を獲得したと考えます。すなわち、画像2の二人は別人であるとみなされるのです。

過去記事「サンがもののけ姫である理由」でも解説したように、アシタカは物語中に石火矢に射抜かれて命を落とします。その後、シシ神によって息を吹き返すのですが、同一人物が2度目の命を得たという表現から、アシタカが瓊瓊杵尊だけでなく、同時に天稚彦(アメワカヒコ=第10代アマカミホノアカリ)をもモデルにしていると同記事では指摘しています。

画像4:日本神話では天稚彦は返し矢に当たり絶命する

つまり、アシタカに使われていた人名隠しのロジックがそのままサンに対しても使われている可能性があるということになります。サンの場合は石火矢ではなく仮面という違いはありますが。

サンの古代史モデルが「木花開耶姫」(コノハナサクヤヒメ)であることは、過去記事「愛鷹山とアシタカ」を読み直して頂きたいのですが、この木花開耶姫、瓊瓊杵尊への輿入れに関しては次の様な記述が古事記にあります。

 五 本花之佐久夜毘売

 ここに天津日高日子番能邇邇芸能命、笠沙の御前に麗しき美人に遇ひたまひき。ここに「誰が女ぞ」と問ひたまへば、答へ白さく、「犬山津見神の女、名は神阿多都比売、亦の名は木花之佐久夜毘売と謂ふ」とまをしき。また「汝の兄弟ありや」と問ひたまへば、「我が姉、石長比売あり」と答へ白しき。ここに、「吾汝に目合せむと欲ふは奈何に」と詔りたまへば、「僕はえ白さじ。僕が父犬山津見神ぞ白さむ」と答え白しき。かれ、その父犬山津見神に乞ひに遺はしたまひし時、いたく歓喜びて、その姉石長比売を副へ、百取の机代の物を持たしめて、奉り出しき。かれここに、その姉はいと凶醜さによりて、見畏みて返し送り、ただその弟木花之佐久夜毘売を留めて、一宿婚したまひき。

※日本書紀と古事記では漢字表記が異なります、ご注意ください

ここで重要なのは、本花之佐久夜毘売(コノハナサクヤヒメ)と一緒にその姉の「石長比売」(イワナガヒメ)も輿入れさせたとあることです。つまり姉妹二人の嫁がいたということですが、石長比売は容姿が醜く能邇邇芸能命(ニニギノミコト)に返されてしまうのです。

ここで、疑問に思われるのが、「姉はひどく醜く妹はたいへんに美しい」という表現です。現実でそういうケースがあるかもしれませんが、一般的ではないでしょう。これは明らかに何か別の意味を象徴した表現、史書の暗号であると考えられます。

これについては、実は漫画家の星野之宣氏がその作品「宗像教授異考録」の中で、石長比売の醜さに関する記述について次の様な仮説を提示しています。

“謎多き熊本県の遺跡トンカラリン周辺で、顔面が平面に陥没した弥生時代の頭蓋骨が出土している。これは幼少期から顔に石の仮面を押し付け変形させたのではないかとも言われている”

画像5:石長比売の漫画表現

私もこの説はかなり有力であると考えており、なぜこんなことをするかと言えば、それは幼少の時より「優秀な巫女を育てるため」であると考えられるのです。先にも述べたように、仮面を装着すればそれはもう別人であり、託宣など巫女が重要な政治的ポジションを占めたと思われる古代期には、超人的な巫女としての能力を養うためにこのような極端な処置を行う慣習があったとしても不思議ではありません。

 関連記事:
  ・チブサン古墳とトンカラリンの小人 [2020/10/31]
  ・トンカラリン-熊本調査報告 [2020/11/30]

そして更に重要なのは

 正妻と巫女の二人の女性が天皇に嫁ぐ

という事象がここに描かれていることなのです。

以上から、「もののけ姫」に見る「二人のサン」の表現には、

 ・木花開耶姫 (仮面なし)
 ・磐長姫   (仮面あり)

の二人の姫の象徴が隠されていると考えられるのです。

■卑弥呼は双子であった

ここまで書いたところで、再び過去記事「ダリフラのプリンセスプリンセス」をご覧いただきたいのです。

この記事では卑弥呼と呼ばれる古代日本の女王が、実際は初代神武天皇の正皇后「ヒメタタライスズヒメ」すなわち

 イスズヒメ と タタラヒメ

の二人の后、それも双子の后を指しているのではないかと指摘しています。そして、どちらか一人が国家祭事を預かる巫女役として配置されており、それが、魏志倭人伝が伝えるところの「卑弥呼」だったのではないかと私は考えるのです。

どうして、年の違う姉妹ではなく、双子だと言えるのか?これは純粋に呪術的な理由でそうであろうと私は考えています。双子同士が互いの体調や何を考えているのかその思考まで、語らずとも理解し合えると言うのは経験的によく知られている話です。この神掛かり的な同調能力は、双子でしかなし得ない特殊能力であり、呪術者にとってはとても魅力的、つまり「おいしい」のです。

巫女能力の優劣が国運を左右したであろう古代期に、このような能力者を元首の傍に置くことは、政治的にも大きな意味を持ったことでしょう。

何か無理矢理な説明だなと思われる方も多いかと思いますが、実は「双子」という表現は「千と千尋の神隠し」の中でも採用されていたことを思い出してください。

画像6:銭婆婆(左)と湯婆婆(右)の双子表現

この2頭身の老婆は、ダリフラ(ダーリン・イン・ザ・フランキス)と同じ双子の姉妹、即ち、双子の卑弥呼(タタラヒメとイスズヒメ)を指していると考えられるのです。

■カオナシ:仮面の正体

さて、ここまで述べたところで再び舞台「千と千尋の神隠し」の話題に戻ります。前々節で「仮面」の話題に触れましたが、「千と千尋~」の中でも仮面を着けていた準主役的なキャラクターが居ましたよね?

画像7:カオナシ

もうお分かりの通り、仮面の存在とは「カオナシ」です。このキャラは作品を通して強く存在感をアピールしますが、結局その名前も正体も明かされないまま物語は終了してしまいます。

前節までに、ジブリ作品における「仮面」と「双子」について分析しましたが、ここで、その結果をこのカオナシに適用するとどうなるでしょうか?もうお分かりのように、

 カオナシはもう一人の千尋(双子姉妹)

であり、更にその古代史モデルに遡れば

 カオナシは巫女となった栲幡千千媛萬媛命の双子姉妹

と結論付けることができるのです。それを象徴するかのように、物語の終盤で千尋は湯婆婆の元へ帰り、カオナシは銭婆婆の元に残るのです。これは双子姉妹が別れてそれぞれの道に進むことを意味しているとは考えられないでしょうか?

画像8:二人は別れ別れに

また、物語に出て来るメッセージの一つに「名前を奪う」があります。湯婆婆が人を支配する為の魔術として描かれていますが、史実から消された双子の片割れとは「名前を奪われた存在」、別の言い方をすれば「顔を奪われた存在(カオナシ)」であることは明白です。

ここまで分析したところでやっと本題の結論が一つ答えられるようになりました。舞台がダブルキャストを採用した真意とは

 二人の千尋

を形を変えて表現したものなのです。そして、なぜそれをここで打ち出してきたのかについては更に別の考察を要しますが、それについては、振り返りポーズの意味と併せ別記事でお知らせしたいと思います。

これは、かつて人気を博した女性ボーカルバンド「プリンセス・プリンセス」、そして2年前に感染騒ぎで話題になった「ダイヤモンドプリンセス号」にも通じる問題なのです。


 * * *

おまけ

画像9:叶姉妹

上図は皆さんご存知の叶姉妹。いつの頃にか3人姉妹から2人姉妹になってしまいましたが、こう言っては失礼ですが、たいして芸も無いのにやたら露出が多いですよね。この「姉妹」が曲者で、実はここにも現皇室に向けた呪いのメッセージが込められているのです。

画像10:神奈川県浦賀の叶神社(2020年3月撮影)
入り江を挟んで東西の二社あることに注意

古代呪術は時の経過と共に忘れ去られた訳ではなく、現在に至るまで脈々と継承されているということです。



顔なしと呼ばれし君に会わむとぞ思ふ
管理人 日月土

ダリフラのプリンセスプリンセス

今月の節分の日、久しぶりにダリフラ関連の記事を(真)ブログ「ニッポン人だけが豆まきを祝う」の方で書きました。そこでの結論を以下に再掲します。

 (1) 主人公ゼロツーのモデルは古代女王のヒミコである
 (2) ヒミコとは神武皇后のヒメタタライスズヒメである
 (3) 上(1)(2)よりヒミコにはゼロツーと同じく角がある

そして、(新)ブログでも記事「DIAMOND PRINCESS」において、掲載同日、日本で進行している事柄と関連してヒミコを取り上げ、そこで次のような想定を用いています。

 (4) ヒミコは双子の姉妹である

ここで、(2)の項目に関しては説明不足であるとは認識していますので、これについては、同説を教授して頂いた知人の研究者と詳細を詰め、なぜヒミコがヒメタタライスズヒメと比定され得るのかについて、後日説明申し上げたいと思います。

ヒミコとは誰か、これまでの議論

ヒミコに関しては、様々なヤマタイコク本がどのような人物であったかを推測しており、その代表的なのが次の2点ではないかと思います。

 A. 天照大神説
 B. 神功皇后説

どちらも記紀に登場するキャラクターで、A説は言わずと知れた太陽神、皇室の祖先と崇められ、伊勢神宮で主祭神として祀られている有名な神様です。

そして、B説は女性ながら日本の三韓征伐軍を率いた傑女として描かれた、14代仲哀天皇の皇后であるオキナガタラシヒメを指すとするものです。

A説に関しては、神道における絶対神のアマテラスさんを、神格化を否定し実在人として捉えたまでは良いのですが、そのまま女性と解釈するところに大きな誤りがあります。ホツマ伝の記録では

 アマテラスは男性

とされ、アマカミ(現在の天皇)の地位にあったとされています。当然ながら后に女性(ムカツヒメ)を娶り、後代アマカミのオシホミミを授かります。

ホツマ伝の記述が必ずしも絶対的事実とは言えませんが、少なくとも神格化を否定したのならば、性別についてもその作為性について疑うべきでしょう。世界の神話においても、北欧神話などを除けば太陽神は男性であることが主流です。この点で最も興味を惹く事実とは、むしろ

 どうして太陽神の性別を女性としたのか?

そして、

 どうして天の岩戸開きなどという寓話を挟んだのか?

という日本神話の特異性そのものなのです。

天照大神の天の岩戸神話
画像1:岩戸開き神話(春斎年昌画、1887年)

B説については、その実在可能性については女性アマテラスさんより高いのですが、如何せん、中国三国時代に使者の行き来があった(魏志倭人伝)とされるヤマタイコクのヒミコが、それより100年以上後の三韓時代の皇后とされるオキナガタラシヒメと同時代と見るのはやはり無理が多いと思われます。

なお、魏志倭人伝はヤマタイコクの存在事実を攪乱するために後代の日本で書かれた偽書とも考えられますので、そこに記載されている年代についてはちょっと注意が必要ですが。。

どちらにせよ、A説、B説共に説得力に欠け、その実体は、何となく古代史に登場するヒロインをヒミコに当ててみたといったところでしょう。積極的な証拠がないという意味では私も似たようなものですが、それについては読者の皆さんがそれぞれご判断頂ければよいかと思います。

■アニメに描かれた双子の関係性

これ以降の話は、ヒメタタライスズヒメ=ヒミコ、と解釈する前提で進めます。(新)ブログでは、

 ヒメタタライスズヒメ = タタラヒメ & イスズヒメ

つまり、この姫は二人の姫(プリンセス・プリンセス)を表し、おそらく双子であろうと述べている訳ですが、名前をこのように分けた理由について説明すると

 タタラ=多々良 → 製鉄
 イスズ=五十鈴 → 鉄鉱

と、それらがお互い関連し合いながらもそれぞれ独立した意味を持つからです。ここから、神武天皇の時代は鉄、または鉄器が極めて重要視された時代だったのであろうと窺い知る事ができます。

さて、この関係を、ちょっと無理目ではありますが、アニメの設定に置き換えてみましょう。

 イスズ → 地下に眠る原石
 タタラ → 地上で原石の力を引き出す

ですから、つまり

 イスズ → Code:001 地中に潜む叫竜(きょりゅう)の姫
 タタラ → Code:002 地上人として能力を開花させたゼロツー

そして何より

 ゼロツーは叫竜の姫の遺伝子から作られたクローン人間

つまり、二人が同一遺伝子を持つ存在として描かれていることに注目です。これは

 二人が双子であること

の暗示的表現と捉えることができます。この部分だけでも、このアニメの制作者はヒメタタライスズヒメ(ヒミコ)が双子であったことをよく知っているなと、感心してしまうのです。

画像2:叫竜の姫とゼロツー
XXのペアは二人の女性を表す
画像3:ダリフラは初めから双子のプリンセスの物語として意図されていた
FLANXXの「XX」は女性の染色体を表す

知るべきところには知識は伝承されている。それを思うとヤマタイコクを巡るこれまで数十年間の議論自体が何だか虚しく聴こえてきますよね。

■ナインズは欠史代天皇の象徴

前回のダリフラ関連記事「太宰府で繋がる新元号とダリフラ」で、私は、登場人物のナインズ(NINES)が、ゼロツーがカウントされていないので9人でなく8人しか描かれていないが、

 実はこの8人構成に意味がある

と表現しました。ここまで書けば後はもうお分かりでしょう。ナインズの8人にはゼロツーの遺伝子が組み込まれているという設定ですから、つまり、ナインズとは

 ゼロツーの血を受け継ぐ者たち

すなわち

 ヒメタタライスズヒメの子孫たち

という事実の象徴であり、すなわち

 綏靖から開化までの欠史代天皇

を表現しているのです。ゼロツーのパートナー、ヒロ(Code:016)は神武天皇をモデルにしたとみなせますし、ストーリーの最終回ではナインズと共に戦っているので、ここからナインズの真のメンバーとは

 ヒロとその他のメンバーたち

つまり

 初代神武天皇、及び綏靖から開化までの天皇八代

を表しているのは間違いないでしょう。そして、全てのメンバーに有角遺伝子が引き継がれてたのですから、彼らの事を

 九鬼(くき)

とも呼ぶのです。そして、ヒミコと同じくやはり本当に角がある人間であったと考えられます。寺社用語として時より登場する「九鬼」という言葉は、初代から第九代までの歴代天皇のことを表し、すなわち、日本風水における独自の「鬼門」の設定や、寺社でこの時期に実施される節分の豆まきとは

 日本建国の古代王たちを呪う

という意味であり、後の反日的陰陽師、僧侶、その他祈祷師等によって開発された呪いの儀礼なのです。なぜここまで九鬼が嫌われるのか?そして現皇室との関係は?それについては記事を改めて推考を進めたいと思います。

* * *

その国の歴史を知ろうと思うなら、その国の宗教を知らねばならないと良く聞きます。しかし、日本の場合は、それよりも更に、宗教の奥底に潜む呪詛の思想、呪詛の技術を知らなければ、とてもじゃないですが過去起きた出来事の真意など掴むことはできません。

一見くだらないような言葉の組み合わせにも経験に裏付けされた心理操作のテクニックが詰まっており、それを巧みに操って、個人や集団を意図する方向に誘導することができます。記紀が編纂された本当の目的とは、子孫の代に渡って日本人の思考を支配するためではないかとすら思われるのです。

ダリフラというアニメはその描画表現と言葉のテクニック用いて、国内の一部にだけに残されている歴史の真実を、作品を通して視聴者に開示しようとしているのではないか?そう思える節が数多く見て取れるのです。

ヒミコの居た古代から現代にまで繋がる「双子の姫=プリンセス・プリンセス」の呪い。現代版のそれについては私たちにとってたいへん生々しい内容を含むため、これまで詳細をぼかしてきましたが、3月1日に開始するメルマガ第1版ではその細部をブログに先行して詳しくお知らせすることにしました。しばしお待ちください。

誠の神力を現す世と成れる
管理人 日月土


太宰府で繋がる新元号とダリフラ

昨日4月1日、政府より新元号「令和」が発表されました。

情報が漏れないよう、新元号選定関係者は厳重に情報管理されていたとされていますが、暗号報道の形でかなり細部の情報まで事前に出回っていたことは(真)ブログ「新元号発表と前日の出来事」でお知らせした通りです。

今回の発表で、私もちょっと驚いたのは、元号制定の根拠となった古典が「万葉集」であったことです。そして、直接元号の由来となった序文が、

 太宰府

にて読まれたものだということです。新元号発表の2日前、3月30日に、ダリフラのアニメタイトルに「太宰府」が暗号として織り込まれているとの前記事「“ダリフラ”、タイトルに隠された暗号」を出したばかりですから、まさか、その話題に被るようこの元号が示されたことに、単なる偶然を越えた何かを感じずにはいられません

九州の地方紙、西日本新聞で出された記事

ここで、太宰府市における26の地区名の中から気になるものをピックアップしてみます。

 01.観世音寺     カンゼオンジ
 02.国分       コクブ
 03.五条       ゴジョウ
 04.宰都       サイト
 05.宰府       サイフ
 06.坂本       サカモト
 07.三条       サンジョウ
 08.白川       シラカワ
 09.朱雀       スザク
 10.高雄       タカオ
 11.通古賀      トオノコガ
 12.都府楼南     トフロウミナミ
 13.長浦台      ナガウラダイ
 14.梅香苑      バイコウエン
 15.御笠       ミカサ
 16.水城       ミズキ
 17.連歌屋      レンガヤ

また、隣接する福岡県大野城市36地区の中から次を取り出します。

 18.牛頸       ウシクビ
 19.大城       オオキ
 20.乙金       オトガナ
 22.乙金台      オトガナダイ
 22.乙金東      オトガナヒガシ
 23.上大利      カミオオリ
 24.雑餉隈町     ザツショノクママチ
 25.下大利      シモオオリ
 26.下大利団地    シモオオリダンチ
 27.東大利      ヒガシオオリ
 28.御笠川      ミカサガワ
 29.瑞穂町      ミズホマチ
 30.南大利      ミナミオオリ
 31.紫台       ムラサキダイ
 32.横峰       ヨコミネ
 33.若草       ワカクサ

全部について一つ一つ説明するとキリがありませんので、まず次のグループに分けます

 グループ1:国の中心を表す地区名
  04.宰都、05.宰府、12.都府楼南
 グループ2:都市の形状を表すもの
  03.五条、07.三条、09.朱雀
 グループ3:大利と付くもの
  23.上大利、25.下大利、26.下大利団地、27.東大利、30.南大利
 グループ4:地形を表すもの
  08.白川、13.長浦台、28.御笠川、32.横峰
 グループ5:歴史の用語によく登場するもの
  01.観世音寺、02.国分、16.水城、19.大城
 グループ6:皇子、皇女の名に関連すると思われるもの
  31.紫台、33.若草
 グループ7:歌に詠まれた、神話に登場したと思われるもの
  06.坂本、15.御笠、
 グループ8:その他

ここでは、グループ1~3に注目します。


太宰府が国の中心であることを表す「都」と「宰」の字

現在、地方行政区で「都(みやこ)」の字が付けられているのは、東京都のみ。日本の首都であり政治的中心地です。明治政府が成立する前は、現在の京都符が首都と言えますが、その名残りが京都の「都」の字に表れています。共に共通するのは、天子(天皇)がご在所する場所だ(だった)ということです。

単に「都」の字が付く地名なら、全国に色々ある訳ですが、太宰府が特別なのは、「宰」の字が付けられていることです。「宰」とは「宰相」という単語からも分かるように、「多くの役人を統率する人(長)」という意味があります。つまりこれが地名に付けられるということは、ここが政治的中心地であったことが窺われるのであり、更にそこに「都府楼=都(みやこ)にある府庁」という行政の中心ともとれる意味が付与されているのですから、

 太宰府は首都を現す地名

と捉えて良いはずです。それはすなわち

 天子(天皇)がご在所された土地

を意味します。加えて、ここが元々整備された都市であったことを示すのが、グループ2の語群にある、現在の京都と同じように真っ直ぐな通りを表す「条」であったり、都市の南に設置される門を示す「朱雀」であると考えられるのです。


「大利」を「ダイリ」と読めば

太宰府市に隣接する大野城市には、地名に「大利」の字が残る地域が、比較的多く存在します。現地ではこれを「オオリ」と呼ぶのですが、これは「大」を訓読み、「利」を音読みするいわゆる湯桶読みです。これを両方音読みするとどうなるでしょうか?

 大利 → ダイリ

ダイリとはすなわち「内裏」、おダイリ様のダイリと同音となります。その意味は、Wikipediaによると

 ”古代都城の宮城における天皇の私的区域のこと。 御所(ごしょ)、禁裏(きんり)、大内(おおうち)などの異称がある。”

とあります。やはりここでも、「天皇」との関連が顔をもたげてくるのです。そして、これはグループ1,2の語群とも意味的に整合するのです。

太宰府市と大野城市
周辺行政区の地名にも注意


歌に詠まれたのはやはり大宰府

(新)ブログ記事「三笠の山の月を詠む」で、次の有名な和歌

  天の原 ふりさけ見れば 春日なる
   三笠の山に 出(い)でし月かも  
                安倍仲麿

は、実は太宰府市にある宝満山(ほうまんざん)、別名「御笠山(みかさやま)」を詠んだ歌ではないかとの考えをご紹介しました。この歌に登場する「春日」という言葉に再度ご注意ください。古代、博多湾は現在春日市の北部まで迫っており、この歌が船から眺めた御笠山を詠んだものであるならば、旅立ちの港となる春日は、安倍仲麿にとってもたいへん印象が強い土地の一つであったはずです。

その春日の港の先に、都である太宰府があり、そこにそびえる御笠山に月がかかるのを見て、詠み人はふと郷愁を覚える。これこそが、この歌の本質であります。

安倍仲麿は奈良時代の官吏です。時代的には新元号の拠典が詠まれたのと同時代の人物です。通説なら、奈良の都を出立し遣唐留学生として唐に向かう旅の途中の出来事を歌に詠んだと解釈されるのですが、途中立ち寄った役所の一支所に過ぎない土地の山に、そんなにもしみじみと郷愁を覚えるものでしょうか?

ここで、都府・宰府・内裏、すなわち太宰府が天皇が居する当時の都であったとするならば、歌の解釈は、まさに都を離れんとする官吏の都への郷愁へと結ぶことが可能なのです。すると、ここからとんでもない仮説が導かれます。最近の記事で「神武天皇御陵は福岡県にある」とお伝えしておりますが、神武時代からおよそ700年ほど経た奈良時代、その時でも都はまだ太宰府にあったことになります。つまり

 奈良時代などなかった

という結論になり、勢い飛鳥時代などというものも存在しないという事になってしまいます。

それに関連して、懇意の遺跡発掘の専門家Cさんにこんなことを聞いたことがあります

 「もしかして、奈良時代や平安時代なんてなかったのではありませんか?」

バカにされるかと思って尋ねたのですが意外にも次のような答えが帰って来ました

 「日月土さん鋭いですね。平安時代が存在したという、遺跡上の根拠なんかないんですよ」

えっ、平安時代もなかった!?


フランキスとフランクス

太宰府でここまで引っ張りましたが、ここからアニメの解説となります。アニメ「ダーリン・イン・ザ・フランキス」を鑑賞された方は、作品を見始めた時に次のような疑問を最初に感じたはずです。

”タイトルは「フランキス」なのに、作中での呼び名は何で「フランクス」なのだ?”

アニメを観てない読者さんのために補足すると、フランクスとは作中に登場する戦闘ロボット(人工生命体)のことです。

物語の中では「キス(kiss)」が一つのキーワードになっており、何となくその台詞の勢いに押されて、タイトルは「フランキス」でいいのかな?と思ってしまうのですが、実はここにも大きな暗喩が潜んでいるのです。次の分析図を見てください。

ダリフラタイトル分析図

(1)の文字違いの比較から見てみましょう。呼び名が異なる「キ」と「ク」を抽出して並べると、①キク、②クキの2パターンが出てきます。このアニメが「日本成立史の情報開示」という大きなコンテキストの流れにあるのなら、この2語は次のように漢字変換できます。

 ①キク → 菊

 ②クキ → 九鬼

②の九鬼とはまさに作品中に出てくる、「叫竜(きょりゅう)」の血が入ったゼロツーのクローンによる戦闘集団、つまり9人の鬼の集団である「ナインズ」を指すのは明らかです。よって、この一文字違いは意図的にタイトルに埋め込まれていたことが明確になります。

なお、九鬼という言葉は、九鬼文書や日蓮宗の九鬼の秘術など、呪術世界でもよく使われる言葉ですが、その真意について明かされたものを私はまだ見たことがありません。

パパの近衛兵であるナインズ(九鬼)
図は、ゼロツーが欠けており8人である。実はこの8人構成に意味がある

すると①の菊も意図的に織り込まれた暗号であり、主人公「ヒロ(16)」の存在と重ね合わせると、これが何を指しているのかはもう明確ですよね。

16菊花紋-天皇家の象徴

次に(2)のキーワードの比較です。作品を通して「キス」が重要なキーワードになっていることは上述した通りですが、これをクスと読むとどんな意味が生まれるのでしょうか?

 ③クス → 九州

もちろん樹木の樟もあるのですが、樟の木は九州を代表する樹木であり、むしろその名は「九州」に由来するものだとも言えます。

新元号の太宰府、ダリフラの太宰府、そして今回の分析よって出てきた新なキーワード、「天皇」「九鬼」「九州」。ここまでの分析にとりあえず矛盾はなさそうです。

九州の太宰府に天皇の出自に関る何かがあるのか、九鬼とは何を指し、どう太宰府や天皇と繋がるのか、ダリフラに隠された暗号は、思いのほか深いものがあるようです。


奪い尽くされて、彼女は地に座る(イザヤ 3:26)
管理人 日月土

“ダリフラ”、タイトルに隠された暗号

この記事は、アニメ「ダーリン・イン・ザ・フランキス」を鑑賞し終わった読者さんを対象に書かれています。記事中に一部ネタバレ的な内容を含むかもしれませんのでご注意ください。

2018年のアニメ「ダーリン・イン・ザ・フランキス」

まずは、(真)ブログ「日本の始まりとダリフラ」で説明した内容のおさらいです。要点を挙げると次の様になります。

・ヒロイン名「ゼロツー」は「02」の別読み、すなわち「鬼(オニ)」、あるいは「和邇(ワニ)」を意味している。
・匿名の原作者名「000」は輪が3つ、すなわち「三輪」を表している

お分かりのように、これは歴史の年表を覚える時に、「何も無くし(794)た平安遷都」などと覚えるように、語呂合わせの要領で、逆に数字から元の語句を推測する方法を取っています。

このアニメをご覧になられた方は、登場人物がただの数字で呼ばれるなんて、何て味気ないのだと思われたかもしれませんが、実はその解読方法については主人公の「コード016」、通称「ヒロ」が仲間の名前を数字の語呂合わせから考案したという下りに凝縮されているのです。

もう一人の主人公となるヒロ(コード016)

日本人にとって数字は単なる記号でなく、数字に紐付けられる音によって数字以上の特別な意味を持つようになります。古神道の中に物部の数詞(かずうた)というものがあるのですが、それは「一二三四五六七八九十」と書いて「ひとふたみよいつむななやここたり」と読み、これだけで立派な祝詞、あるいは呪文として意味を持つのです。呪術の世界では生命を復活させる力があるとされています。

この漢数字の中で、例えば「四」を取り出せば、その音は「し」または「よ(ん)」であり、その音は更に「死」「子」「夜」「世」・・などの多くの意味を持つことになります。その点においては、数字の並びは、漢字や平仮名よりも多くの意味を同時に持たすことができるので、暗号を仕込む方法としては実はたいへん都合が良いのです。

■アナグラムで読む”ダリフラ”

さて、暗号を仕込む方法としては、アナグラムという文字の並べ替えが良く使われます。このアナグラムを用いて、このアニメのタイトルを分析しましょう。

タイトルは「ダーリン・イン・ザ・フランキス」ですが、英語のカタカナ表記なので、英文に合わせ「・」(なかぐろ)によって単語毎に言葉が区切られています。実はこの言葉を区切るというというのが曲者なのです。

以下は「いろは歌」の暗号としてかなり有名なものですが、まずこれを見てみましょう。

いろは歌の暗号
一般に、咎なくして死するを善しとした人物とは、イエス・キリストを指す

この暗号を抽出するには、どこで言葉を切るのかが重要になってきます。ところが、ダリフラのタイトルの場合はどこで言葉を切ったらよいのか、既に記号で示されているので、こんなに楽なことはありません。それではそちらも同じ様に分析してみましょう。

ダリフラのタイトル文字を分析

すると、「ダイザフ」なる言葉が浮き出してきました。これをアナグラムとして更に並べ直すと、意味のある言葉が出てきます。そう、もうお分かりですね、それは

 太宰府(だざいふ)

となります。あの学問の神様、菅原道真公を祭り全国的に有名な太宰府天満宮のある、福岡県太宰府市のことです。

いきなり太宰府が出てきて何のことと思われるかもしれませんが、実はこれまでに出てきたキーワードとちゃんと関連してくるのです。下の福岡県の地図を見てください。

太宰府市(赤)と旧三輪町(黄)、那珂川市(青)
三輪町は2005年に夜須町と合併して筑前町に、那珂川は昨年市に

前述の「三輪」を奈良県桜井市にある三輪山と想定すると、この関連性は分からないかもしれません。ここで言う三輪とは、福岡県にある旧三輪町のことを指します。太宰府と三輪が地理的に近いのは上記地図を見ればお分かりだと思います。そして、青く塗った(現)那珂川市は、(新)ブログ「両陛下へ繋ぐ神武天皇御陵」でもお伝えしたように、本物の

 神武天皇御陵

が鎮座する土地なのです。それらから、ダリフラが何故タイトルにまで「太宰府」なるキーワードを埋め込んできたのか、その真意が見えてきます。私はそれを「日本成立期に関る情報の開示」と見立てました。

実は、このタイトル、もう一つ別の意味を含んでいるのですが、太宰府に関する詳細な情報を含め、それはまた次回以降の話題に譲りましょう。

最後に、主人公の「ヒロ」について触れたところで、コード016の意味について考えましょう。語呂については既に「1(ヒ) 6(ロ)」と出ていますので、こここでは数字として単純に見ればその意は明らかです。

16菊花紋章-天皇家の象徴

16なんて数字はどうにでも解釈可能ではないかと思われるかもしれませんが、これが「菊」であるという暗示が実はアニメの中に示されています。それについては次回触れることにします。


奪い尽くされて、彼女は地に座る(イザヤ 3:26)
管理人 日月土