これまで、日本神話の核となる伊弉諾(いざなぎ)・伊弉冉(いざなみ)から鸕鶿草葺不合尊(うがやふきあわせず)までの6代に亘る王朝が、実は高々2~3代の比較的短い期間内に起きた実際の史実、そしてその期間に実在した人物の話を、別名を用いて見かけ上、王権が実際より長く続いたように史実を組み替えているのではないか?という話をしてきました。
そもそも秀真伝(ほつまつたえ)では神武天皇以前も明確に人間史として記述されているのに対し、古事記・日本書紀では神話というファンタジーに仕立てられているのもどこか変なのです。そこには、
神話にせざるを得なかった
理由が必ずあるはずなのです。その理由の一つが、ナギ・ナミからウガヤフキアワセズまでの記録を大きく改竄せざるを得なかった、あるいは創作せざるを得なかったからであり、神話という表現形式も、同箇所が「ほぼ作り話」であることを示す、史書編纂者による苦し紛れの工夫であったのではないか、私はそう考えるのです。
この作り話の対象となった短い期間を、私は「F時代」と呼びますが、秀真伝や記紀が編纂されたのはその時代から数百年も経ってからの奈良時代であり、その時は既に現王朝に続く古代王朝が基盤を築いていますから、王朝に対して歴史的権威を与える方向でしか史実をまとめられなかったはずなのです。
しかし、全てを作り話で固めては真実が記録から永久に消え行くことになるので、表現の端々に真実を散りばめる、そのためには奇想天外な話も盛り込む必要が出てくるのですが、そこで採用された表現形式が「神話」というファンタジー的表現であったと考えるのが、おそらく一番自然な解釈であると私は思うのです。
「神話は空想ばかりで信じられない」と言うのはある意味正しく、だからと言って読む価値が全くない訳でもありません。神話には神話の記法にあった読み方があるはずで、それがこのブログでこれまで試みてきた神話解釈なのです。
さて、このF時代の主要な登場人物であるお姫様について、それぞれ多くの別名を有することをこれまでブログ記事の中で考察してきました。そして、それらのお姫様達が約2年前のアニメ番組「しかのこのこのここしたんたん」のキャラクターモデルとして採用されているだろうことを指摘してきました。
今回は、この鹿の子アニメとF時代のお姫様の関係を今一度振り返ってみます。
■鹿の子アニメのキャラクターとF時代のお姫様
これまで(神)ブログ、あるいは(真)ブログで話題にしてきたキャラ、それに加え、まだ考察に手を付けていない女性キャラについて次の図にまとめてみました。
「古代史上のモデル」欄には幾つか名前が記述されていますが、どれも一人のお姫様に付けられた「別名」となります。漢字表記の違いも含めれば更に別名の数は増えますが、とりあえず主要なものだけをここではピックアップしています。

アニメ公式ページのキャラクター紹介にはシカ部メンバーと生徒会メンバーの少女7人のみが記載されていますが、このアニメにはこの7人以外にもう一人名前が与えられている女性キャラ「鵜飼先生」が登場し、上記画像にはそれも加えています。
この大人の女性1名を含めて計8名となるのですが、この数字が神話解釈上非常に大きな意味を持つことは後でお伝えしたいと思います。
■F時代とは大洪水時代
F時代のFが Flood(洪水)から取られていることは以前述べましたが、改めて大洪水と画像1のキャラ名との関係を考察したとき、画像1では「未考察」とされているキャラ「燕谷千春」との関係が見えてきます。
大洪水は旧約聖書に書かれているノアの箱舟の説話が有名ですが、ノアの箱舟は3層構造であり、志賀神(しかのかみ)とはその三層を「底・中・表」と神格化したものであることは過去記事で既に述べています。また同神を祀る信州の穂高神社では大船に模した山車を祭の日に引き廻す習わしが残っている事にも触れています。
関連記事:鹿と方舟信仰
聖書に書かれた大洪水の原本となっただろうと言われるものに、メソポタミア神話のギルガメッシュ叙事詩があり、その洪水物語には次のような記述があります。
エア神の説明により私は船をつくり、自分と自分の家族、
Wikipedia ギルガメシュ叙事詩から
船大工、全ての動物を乗せた。6日間の嵐により人間は粘
土になった。私の船がニシル山の頂上に着地して7日目、
鳩、ツバメ、カラスを放ってみた。私は船を開け乗船者を
解放した後で神々に生贄を捧げると、その匂いにつられて
多くの神が集って来た。
聖書では、陸地を見つけるのに放たれた鳥は鳩だけですが、ギルガメッシュ叙事詩では
燕(つばめ)と烏(からす)
もそれに加わっています。
ここに、「大洪水」と「燕」の関係が見えてくるのですが、これだけではまだ「燕」がどのお姫様、あるいは古代女王のことを指すのかまでは分かりません。しかし、「鹿乃子のこ」同様、「燕谷千春」が大洪水と関係している古代女王をモデルにしているのだろうと予想できるのです。

©おしおしお・講談社/日野南高校シカ部
みすまるの玉を受け継ぐ八女ならば継いで残さん一人然りても
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