年が明けたばかりの今月6日、某所(後で説明)の現地調査に向かったのですが、移動中に空を見上げて驚いたのが、そこに描かれた二つの「X」の文字だったのです。その状況は(真)ブログ記事「新たな祭の始まり」で触れています。
それが自然にできた雲によるものなのか、あるいは飛行機雲なのか、その発生源については未だに不明ですが、空に文字様の雲を見かけるのは必ずしも珍しいことではありません。それでも今回驚いたのは、そこに描かれた文字が「XX(ダブルエックス)」であるということ、また「XX」を見たのがこれで2回目だということなのです。
最初の目撃体験については、昨年4月の(真)ブログ記事「大空のダブルエックス」で触れていますが、何より不気味に思えたのが、「XX」を目撃した2回の調査活動の目的が
少女神のルーツを探る
という、同じテーマであったことなのです。

■ダリフラのXXの意味を再考する
4年近く前、(神)ブログを始めた頃に2018年のアニメ作品「ダーリン・イン・ザ・フランキス」(以下ダリフラ)を取り上げ、そこに隠された日本古代史について分析を行いました。
取り敢えず、その時点で気付いた要素については一通り記事にしたつもりだったのですが、そう言えば、このアニメのタイトル画には「XX」が2つも描かれていたのを思い出したのです。

ここで、過去の記事を読み返してみたのですが、当時はまだ上古代における皇后兼巫女の女系継承問題、いわゆる「少女神」についてはその概念すらなかったので、分析の方向性は
双子の皇后
すなわち、政治的なポジションとしての皇后と、宮中祭祀など巫女的役割を担った二人の皇后がいたのではないか、その点にのみフォーカスし、血の継承問題については特に分析の対象とはしていませんでした。
そこで、偶然?にも二度目撃した「XX」に鑑み、ここではこれまでのダリフラ分析に新たに女系継承の視点を取り入れてみようと思い立った訳なのです。
これまでのダリフラ関連記事:
1)2019年3月30日 “ダリフラ”、タイトルに隠された暗号
2)2019年4月2日 太宰府で繋がる新元号とダリフラ
3)2020年2月27日 ダリフラのプリンセスプリンセス
さて、タイトル画以外に「XX」の意味について触れたシーンが作中に一箇所あるので、まずはそこを押さえておきましょう。

(第20話より)
アニメの設定における位置付けはともかく、画像3をのシーンを見る限り、少なくとも「XX」がX染色体、すなわち「女性遺伝子」を指していることは明らかです。問題なのは、画像2のタイトル画で象徴されるように、何故「女性」と「遺伝」をここまで強調するのかその点なのです。
単純に考えれば、これは女性の特性が遺伝的に続くこと、すなわち女系の血の継承を表現しているのではないかと取れるのですが、いかがでしょうか?
これまでの分析により、アニメの主人公である少女「02」(ゼロツー)は、その数字が「鬼」を表すことから、鬼道(呪術)の使い手で知られる卑弥呼、そしてその実体である神武天皇の皇后、媛蹈輔五十鈴媛(ヒメタタライスズヒメ)をモデルにしているだろうと予想しています。
また、「媛」ヒメの字がその名に2箇所使われていることから、恐らくこれが双子の皇后の存在を表すであろうとも結論付けています。アニメでは「ゼロツー」が「叫竜の姫」の遺伝子クローンという設定になっていますので、これはまさにヒメタタライスズヒメが双子であることを遠回しに表現しているのではないかと捉えたのです。
これらを少女神の視点から更に表現し直すと
双子の皇后ヒメタタライスズヒメは、特定女系の血を引き継いでいる
となるのです。
実は、この予想を補足する作品中のメッセージとして、次の登場人物のネーミングが大きな意味を持つことに後から気付きました。

二人の役どころは、主人公達を含む「子供」と呼ばれる少年・少女戦闘員の世話役、物語の最後では彼らの親代わりというポジションに移るのですが、まずここで親子という世代継承のニュアンスが表現されているのが分かります。
しかし、数字をそのまま読み替えただけだろうこの二人の名前は、より重大な意味を含んでいることが以下の分析から見出せるのです。なお、この二人に限っては、他のキャラには付けられているコードナンバーが何故だか設定上でも明記されていないので、「ハチ」については「8」、「ナナ」については「77」の数字を割り当てることにします。

3桁の数字「123」が「天皇」の意味を持つことは(真)ブログ記事「新嘗祭イヴの呪い」をご確認頂きたいのですが、実はこの場合「877」という数字が転じて「皇后」を意味することはこれまで説明したことはありませんでした。
どうしてそう言えるのかは、画像5を見ればお分かりの様に、この二つの数字が加算された時に初めて新しく4桁目が生じる、すなわち、天皇と皇后の組み合わせが新しい次の世代を生み出すと解釈できることに拠るのです。
ここまで来ると、「ハチ」と「ナナ」のネーミングは適当に付けられたものとは考えにくく、明らかにこれは、「皇后」に関連するメッセージを強く含んでいると考えられるのです。
古代史ならず日本の歴史の主役は「天皇」であると私たちは考えがちですが、どうやらダリフラが意図する歴史的視点は、皇后の輩出家系についても大いに注目しているようなのです。
■ヒメタタライスズヒメと三嶋溝橛
さてここで、ダリフラにおいて角の有る美少女キャラのモデルとなったであろうヒメタタライスズヒメが史書の中でどのように記述されているかを確認してみます。
此の神の子は、即ち甘茂君等(かものきみたち)・大三輪君等、又姫蹈韛五十鈴姫命なり。又日はく、事代主神、八尋熊鰐(やひろわに)に化為(な)りて、三嶋の溝樴姫(みぞくひひめ)、或は云はく、玉櫛姫(たまくしひめ)といふに通ひたまふ。而して児姫 蹈韛 五十鈴姫命を生みたまふ。是を神日本磐余彦火火出見天皇(かむやまといはれびこほほでみのすめらみこと[=神武天皇])の后(きさき)とす
日本書紀神代上第八段一書から
これの他に、次の箇所でも登場します。
庚申年(かのえさるのとし)の秋八月(あきはづき)の癸丑(みづのとうし)の朔(ついたち)戊辰(つちのえたつのひ)に、天皇、正妃(むかひめ)を立てむとす。改めて広く華輩(よきやから)を求めたまふ。時に、人有りて奏して日さく、「事代主神、三嶋溝橛耳神(みしまみぞくひみみのかみ)の女(むすめ)玉櫛媛(たまくしひめ)に共(みあひ)して生める児を、号(なづ)けて媛蹈輔五十鈴媛命と日す。是、国色(かほ)秀れたる者なり」とまうす。天皇悦びたまふ。
日本書紀神武天皇記本文から
以上から、書紀では神武天皇の正皇后であるヒメタタライスズヒメは事代主神と玉櫛姫の間に生まれた子と記述されているのですが、秀真伝ではその辺の関係性が少し異なります。

上図の様に、秀真伝によれば玉櫛姫を娶った事代主と言うのは、同じ事代主でも孫の世代に当たる「ヤヱコトシロヌシ」を指すようなのです。
事代主は皇統の代で言えば瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)と同世代になりますから、その娘が瓊瓊杵尊のひ孫に当たる神武天皇の后になるというのは少し不自然です。ですから、同じく事代主のひ孫世代がヒメタタライスズヒメとなる秀真伝の記述の方が、より真実に近いと考えられます。
さて、今回の注目点は「少女神」ですから、そうなるとどうしても気になるのが、画像6でも示した、皇后を輩出した家系
三嶋溝橛(みしまみぞくひ)
とは何者なのか、その点なのです。残念ながら、秀真伝でも三嶋溝橛の妻の名、およびそれより遡った系図は出ていません。
少女神と言う概念を初めて取り上げた記事「少女神の系譜と日本の王」で、私は「みシまる 湟耳(こうみみ)」氏が書かれた本「少女神 ヤタガラスの娘」を紹介しましたが、その中でネタバレ防止の為、次の様に一部を伏せて書いている箇所があります。
古代皇統の権威は特定家系である「☆☆☆」家の少女の元へ入婿することによって引き継がれてきた
もうお分かりのように、この伏字に入る文字は
ミシマ
なのです。また、著者が三嶋溝橛にたいへん注目していることは、ペンネームの「みシまる」に如実に表れているとも言えるでしょう。
これまで、国内少女神の家系として、伊弉冉尊(いざなみのみこと)から始まる、下照姫の家系、月読尊の家系を予想していましたが、今回登場した三嶋溝橛がそのどちらかの系統に繋がる血筋なのか、あるいは全く別の女系一家なのか、新たなる謎が加わることになりました。
ダリフラというアニメは、素人目に見ても相当に脚本を練った作品、あるいは古代史情報をふんだんに詰め込んだ作品と認められるのですが、ここまで出してくる目的とはいったい何なのか?表現者のその意図を含め、今後の分析が求められるのです。
■大空のXXが意味するもの
次の2つの写真は、空にXXが出現した当日の調査対象です。


香良須神社はみシまる氏の著書に書かれていたことから、半ば興味本位で向かった場所ではあるのですが、現地の客観的な情報からだけでも次の点が窺えます。
祭神は稚日女尊(わかひるめのみこと)→ ワカヒメ → 下照姫(少女神)
所在地は市木町(いちきまち) → イチキ → 市杵島姫(少女神)
そして、君津の三島神社については特に語る必要はないでしょう。
大空のXXが少女神調査との関りで出現したものなのか、それとも単なる偶然なのか、それは私にもよくわかりません。ただ、このテーマが日本(にほん)という国の成立ちを知る上で、避けて通れないものであることを、ひしひしと感じるのです。
賀茂川を上りて向かう姫宮は紅差す御身の清き里なり
管理人 日月土
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