このブログの運営を始めて4年近くになりますが、そう言えばこれまでの記事を総括したものを殆ど書いたことがなかったことに気付きました。
ブログという媒体の性質上、古い記事はどんどんと過去に追いやられて行き、読者の皆様が過去記事を読もうにもどこから手を付けてよいか分からなくなるだけでなく、筆者の私自身が過去のいつ頃にどんな記事を書いたのか訳がわからなくなってきます。
今年の年末は例年に増して忙しく、新たな書下ろしをどうしようかと考えあぐねていましたが、この状況を機に、ひとまず今年最後の記事はこの1年の記事を振り返ってみることにします。
■令和五年の過去記事一覧
まずは、今年書いた記事の一覧を、リンクを付けて下記に掲載します。
【前半】
1月
大空のXXと少女神の暗号
豚と女王と木花開耶姫
2月
猿と卑しめられた皇統
名前を消された三嶋
3月
甲と山の八咫烏
加茂と三嶋と玉の姫
4月
書き換えられた上代の系譜
伊古奈姫と豊玉姫、そして123便
5月
三嶋神と少女神のまとめ
丹塗矢が流れ着いた庄内
6月
推しの子に見る月読尊と伊予
神津島の少女神たち
【後半】
7月
古代の女王と文化庁
欠史八代の天皇と皇后
8月
美濃の姫神
卑弥呼と邪馬台国の精密分析
9月
公孫氏卑弥呼とは誰か
花嫁たちの故郷
10月
神功皇后の新解釈
日本神話と鹿児島
11月
日本神話と鹿児島(2) – 吾平山上陵 –
鹿児島と鹿の暗号
12月
鹿の暗号と春日の姫
令和五年のブログ記事まとめ (この記事)
■少女神と三嶋神
今年、特に前半で主要なテーマだったのは、何と言っても、
少女神と三嶋神
であり、それらの考察から見えてきたものは、記紀などの史書やその他伝承の中でそれぞれ別の神の系譜として記述されているものが、実は同一神の系譜を指していることが明らかになったことです。
なお、毎度のお断りですが、私は日本神話とは実在した人物の記録を敢えてデフォルメ(神話化)したものと捉えていますので、この先は実在人として取り扱っていきます。
そして、この一年を通して何度も主張してきたのが
古代天皇の家系は女系であった
という考え方で、これを「少女神仮説」として展開してきました。
この王権女系継承の継承者となる女性シャーマンのことを「少女神」と呼びますが、この少女神の考え方を提唱されたのが、みシまる湟耳さんであり、その著書「少女神 ヤタガラスの娘」(2022/1/28 幻冬舎)については本文中で何度か紹介させて頂いています。
史書類の記述を比較検討し、それに少女神仮説を組み入れた結論、それは上記事「三嶋神と少女神のまとめ」に初めて掲載した次の系図に表されています。
この図を読む上で気を付けて欲しいのが次の点です。
・王権の継承者は皇后である
・各史書によって異なる人物名が使用されている
記紀の神話を読む限り、男性王が目に留まった女性を皇后に向い入れる様な話が多いのですが、それによって私たちは古代から現代に至るまで男系による天皇家が続いてきたように思わさせられています。
しかし、みシまる氏の上記著書では、史書の細かな記述の分析から、どうやら女性シャーマン(少女神)の下に男性が婿入りすることこそが、その男性が王となる為の条件だったのではと、従来の考え方に一石を投じているのです。
「万世一系」は一般的な天皇家の血の継承を表す言葉ですが、その言葉のイメージは、「男性が皇后を娶り、その間に生まれた男子が王権を継承する」というものですが、もしも女子にこそ王権の継承権が与えられていたとすればどうなるでしょうか?
少女神仮説によれば、一系は一系でも、その血の流れは女子にこそ受け継がれるものなのです。現代の私たちは果たして間違った天皇家像を見ているのでしょうか?
このブログでは、日本神話は神話物語と読むべきものではなく、
古代史実が高度に記号化された暗号書
であると以前から主張しています。
例えば、「瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が大山祇(おおやまつみ)の娘、木花開耶姫を見初めて娶った」という記述は
大山祇の息子、瓊瓊杵尊が木花開耶姫へ婿入りした
という事実の反転と捉えればよく、記紀で表現されている「皇后が嫁入り」という部分を「天皇が婿入り」に置き換えれば、あっという間に女系継承による天皇系図が出来上がるのです。
要するに、これは記紀編纂者が女系から男系へと史実を大きく改竄した時に使っただろう暗号化手法を更に逆手に取った復号方法だとも考えられるのです。
もちろんそれが正しいかどうかは、他のケースにおいても比較検討しなければなりませんが。
■複数の名を付けられた古代王
日本神話を読むときに、あまりに多くの神(人物)名が出て来るので、その関係性の整理が頭の中でおいつかないという声をよく聞きます。
しかし、このような複雑な神(人物)名の数々も、図1のように各史書の記述を整理していけば、実は同じ神(人物)名に幾つも異なる名が付けられているのが分かってきます。
例えば、上の図では
三島湟咋 = 賀茂建角身 = 彦火火出見
が同一人物であることを示しています。
なぜこんなにも激しい記述の揺れが発生するのかと言えば、これも過去に行われた歴史改竄事業の結果だと私は考えています。
しかし、結局上図のような系譜の統合ができたのには、これが同一人物を表すのだというサインが、各史書分散され巧妙に散りばめられていたからなのです。ここに、古代の史書編纂者が仕掛けただろう「史実を改竄しつつ史実を残す」という高度な暗号化技法が見て取れるのです。
系譜の統合をどのように行ったかについてはぜひ「書き換えられた上代の系譜」を読んでいただきたいと思います。
■記紀から名を消された古代王
神話の中で複数の名を与えられたばかりに、その実在性が希薄となり、その中でも最も忌むべき名が通名になった古代王がいます。その王について書いたのが「猿と卑しめられた皇統」です。
全国の神社でお馴染みの神様、猿田彦(さるたひこ)が、実は、記紀からその存在を抹殺された古代王、火明(ほのあかり)を揶揄した命名であることが、やはり記紀や古代史を物語の基本プロットに採用したアニメ作品の分析から判明しました。その結果については下図を見て頂きたいと思います。
この火明さんですが、記紀から抹消され、獣の名(猿)を当てられる位ですから、逆に、古代期において非常に大きな業績を残した王だと考えられるのです。
この方については、いずれ大きく取り上げたいと考えています。
■卑弥呼と神功皇后
9月、10月には古代史上の女傑? 卑弥呼と神功皇后(じんぐうこうごう)について触れています。
卑弥呼については、山形明郷著「卑弥呼は公孫氏」を題材に、従来の邪馬台国論争が、全くもって的外れであることを説明しています。
そもそも、「倭人」が日本人であると誰が決めたのか?「邪馬台国」が日本列島内にあると誰が決めたのか?そのような邪馬台国論争の根本となる基礎的解釈が、実は非常に曖昧で当てにならないことを述べています。
また、神功皇后についても、少女神仮説と共に史書編纂者による記述の反転があったとみなし、再反転による再解釈を試みています。この解釈は卑弥呼の節で述べた「倭国」の定義を採用していますが、これにより、世にいう「三韓征伐」(さんかんせいばつ)が実際にどのようなものであったかを考察しています。
■鹿児島と鹿と三浦春馬
9月、10月には鹿児島へ調査に行ってきました。10月後半から今月までは鹿児島と神話に関するトピックを扱ってきましたが、ここでは「鹿の暗合」に大いに注目しています。
実はこの鹿の暗合、3年前に不審な亡くなられ方をした俳優の三浦春馬さんの名前とも関連してくるのです。
ここでは、12月16日配信した(神)ブログメルマガの記事から、鹿と三浦春馬さんの関係について書いた記事を抜粋したいと思います。
■三浦春馬と春日の関係
ここで、少々唐突かもしれませんが、3年前に「クローゼットで首つり自殺」なる不審な死を迎えた若手俳優の三浦春馬(みうらはるま)さんと春日との関係について考察します。
私の直感ではありますが、この俳優さんの死と呪術は無関係でなく、それならば涼宮ハルヒ同様、三浦春馬という芸名にも何かの意味が込められているはずです。
まず、誰でも分かることですが春日の「春」と春馬の「春」が共通の文字として使われている事が一つ。
次に「三浦」の解釈ですが、もしもこれが
霞ヶ浦、北浦、外浪逆浦(そとなさかうら)
だとすればどうでしょうか?実はこれらの浦(波が静かな入り江のこと)は全て
茨城県の「鹿島」地域
にあるものなのです。中世まであったと考えられる香取海(かとりのうみ)の現在まで残った残姿だとも言えます。ちなみに香取海の沿岸は、実在したであろう高天原(たかあまはら)が実際に置かれていた地域と私が推定する場所なのです。
ここで、「春(春日)」と「鹿」という、今回の記事で取り上げた春日大社に意味づけられたのと同じ要素が、三浦春馬さんの名前の中に見られることが分かります。
もしも、三浦春馬さんの死が何か呪術的に呪われたものだとすれば、それは春日大社、引いては藤原氏、武御雷、タカミムスビ皇統に繋がるものであると考えられるのです。
問題なのは「馬」の文字の解読なのですが、これについてはまだ不明な点が多いです。しかし、「馬娘」なる若者向けアニメのプロモーションに巨額の資金が投入されている実態を見ると、どうやらこの「馬」についても、もう少し時間を掛けて調べる必要がありそうなのです。
令和5年12月16日配信 (神)ブログメルマガ92号より
実は、三浦春馬さんの名前には非常に大きな意味が込められているのが分かりました。それについてはまずメルマガで解説させていただくことになります。
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以上、なるべく簡潔に今年一年の記事をまとめてみましたが如何だったでしょうか?複雑な日本神話ですが、日本の古代を紐解く暗号書としてその解読に興味をもっていただければ幸いです。
それでは新年もよろしくお願い申し上げます
管理人 日月土